コーツト本完成記念展 naya×柴崎まどか「ではまた、あの窓辺で」 ...2023/10/28...


コーツト本完成記念展
「 ではまた、あの窓辺で 」
Exhibition by naya × Madoka Shibazaki
2023 11 02 thu – 28 tue


呼ばれてないのに、導かれる。
待ち合わせてないのに、また会える。
さまざまな人生が重なったり、すれちがったりする場所。


広島・大崎上島を拠点として活動するアートユニット・nayaと、
東京を中心に活動するフォトグラファー・柴崎まどか。
約800kmの距離を越えて、COUZTを通じて出会った彼らが、いとおしい時間を紡ぎます。


ふと思い出す、あの味、あの音、あの物語。
今度会えたら、きっと話そう。何気ない、とるに足らない、たわいもないこと。
ではまた、光あふれるあの窓辺で。


11/2発売のコーツト本『COUZT?』にあわせて、完成記念展を開催いたします。
本制作の発起人で、写真とデザインを手がけた柴崎まどかさんと、
あるご縁から繋がり本の見開きドローイングをお願いするに至ったnayaのおふたりの、合同展。

コーツト本から得た各自のテーマ(nayaさんは「蝶道」、柴崎まどかさんは「過ごしてきた時間」)で作品を流れるように展示し、2人がコーツト本で出会ったように、最後は小上がりの作品で重なり合います。

nayaさんのワードツリーにはコーツト本から拾ってきた言葉もあり、展示されている絵には、ワードツリーから浮かんでくる物語のそれぞれのモチーフが使われています。
「あ、この絵はもしかしたらこの“言葉”に近いかも」
ことばと絵がリンクする、その思考の道も、蝶道に近いのかもしれません。

雨粒のように書かれている窓の言葉は、ライター・編集者である藤間紗花が紡いだもの。
皆様もぜひお楽しみください。



[ naya ]
広島・大崎上島を中心に活動するアートユニット。
2人で対話をするように、作品づくりをしている。
活動拠点である大崎上島では、観光案内所内のディレクションやデザインも手がけた。https://www.instagram.com/naya_po

[ 柴崎まどか ]
2015年に写真家として独立し、数々の映画スチールを手掛ける他、雑誌、広告、カタログ、アーティスト写真など幅広く活動中。
https://www.shibazakimadoka.com

展示についてオンラインミーティングをした際の、COUZTのこと、島とCOUZTの繋がり、一緒に展示をすることの意義……話を繰り広げていく様はとても興味深い時間。
お2組とも、全力で向き合ってくれました。
また、展示タイトルに至るまで、お店の働き手である私やスタッフではない皆様が形作ってくれていること、素晴らしい経験をさせていただきました。

ここからは、柴崎まどかさんとnayaさん、それぞれCOUZTとの出会いをご紹介したいと思います。



[ 柴崎まどかさん との出会い ]
COUZTも私もまだまだ駆け出したばかりの頃、アルバイトに応募してくれたのが藤間さんでした。
(今は“柴崎まどか”で活動していますが、当時は藤間さん。)
まだ名もない通りが薄暗くなってきたなか(そういえば、街灯もなかったかも)、窓側の席で面接をした覚えがあります。
10年近く前、なんとお互い20代前半と半ば。

美味しいものが好きで、愛情深くて、思ったことを伝えることができる、憎めない藤間さん。
自身の仕事が忙しくなりCOUZTを卒業しましたが、
みるみるとフォトグラファーとして力をつけ、今では遠い存在になったな〜と、私からは眩しいほどに立派な“柴崎まどか”です。

彼女の写真……人物も、人の気配がする景色も、家具を設えた部屋にも、いつも懐かしさと似ている愛情が感じられます。
彼女のさらりとした気質と、相手を素直に尊重できる性格によって、写真の一瞬に込められているのかもしれません。
正直なところ私は、美術館等に寄って写真作品にそこまで感動した覚えがない人間なのですが、柴崎さんの写真には、なんでこんな風に撮れるのだろうと、フォトグラファーの偉大さを教えてもらいました。
(また、「文章が苦手」と言う彼女の、それでも向き合って生み出す文章も、実は大好きです。)

2020年に発行された、愛猫と部屋の写真集も秀逸です。
猫と部屋の写真集『Kissa ja huone』
ただの猫本と思うなかれ……空間のなかに増えたり減ったり作ったり、そして引越したり。
ただそこに佇み過ごす猫と、姿は見えないけれどあれこれしている人間(まどちゃん)も見えてきます。
COUZTでも取り扱っていますので、ぜひ展示と合わせてご覧ください。

COUZTのフリーペーパーに“新聞”というかたちはどうでしょう、と提案してくれたのも彼女。
今回「本を作りませんか?」と持ちかけてくれたのも、彼女。
最初から最後まで、感謝ばかりです。。。

ものづくりに対して「良い、やりたい」というむくむく出てくる無限の気持ちと行動。
この本制作の2年間、大変な刺激を受けさせていただきました。
でも、まどちゃん!
体には本当に気をつけてくださいね。

(途中から勢い余って愛称呼び失礼いたしました。)

[ nayaさん との出会い ]
2019年12月、nayaのおふたりが東京を訪れました。
たまたま訪れた谷根千で、たまたま入ったカフェがCOUZTだったそうです。
すると、彼らが普段活動拠点にしている大崎上島で何度も会っているエリーさん(島にいるときは観光案内所の常連さん)に偶然会いました。
「ここ、僕のリビングなんですよ」
というエリーさんと、そのまま谷中を散歩ツアー。
その時、谷中という町、COUZTのあるキッテ通り、人との距離が近い感じ、古いものが残っている感じなど、雰囲気が島と似ているなぁと感じたそうです。

数年後、2歳になったばかりの子と一緒に、今度は私が島を訪ねました。
台風接近のため、滞在時間は3時間程度。
約束もしていなかったのに、nayaのおふたりは車で島を一周し案内をしてくれて、海の砂浜で子と一緒に遊んでもくれたのです。
nayaの活動のことやものづくりに対しての話も、色々と聞くことができました。
島の豊かさや歴史に触れて、充実できたこともありがたいですが、
お二人の観光案内所としての仕事ぶりや、nayaの活動で行っている表現だとかに、感銘して帰ってきました。

その後、コーツト本を進めていく中で見開き絵を誰に依頼するか考えたとき、彼らのことをふと思い出しました。
コロナや出産、スタッフの卒業などから、この2・3年はバタバタしてしまっているCOUZTに、新しい風を吹かせたいと思ったことを覚えています。
島の豊かさ穏やかさとnayaのおふたりの、風を。

※nayaのおふたりは大崎上島の観光案内所でお仕事をされています。その観光案内所も素晴らしいのでぜひ立ち寄ってみてください。
こちら大崎上島 風待ちの案内所 https://osakikamijima-navi.jp/guide

[ にんぎょう について ]
にんぎょう ¥8,000

nayaさんお手製の、“にんぎょう”たち。
一体ごとに表情も、纏っているものも、存在感も違います。
精霊のような不思議な佇まい、たまりません。
葉っぱの裏を覗いたら出会えそうな子、屋根裏にいそうな子、明るい陽が差し込む窓辺にいそうな子……ぜひ、気になる子とじっと見つめ合ってみてください。
そっと見守るのも良いかもしれませんね。

いらなくなった紙をミキサーにかけ粘土のようにし、表面は漆喰で仕上げるそうです。
少々欠けやすいということで、もし欠けた場合は、nayaさんの活動拠点である広島の大崎上島へ持っていくと直してくれるとのこと。(!)
その際には、フェリーで島入り、穏やかな海と山の重なりを満喫してくださいね。
観光案内所へ寄るのも忘れずに!
夏も最高だと思いますが、冬には、島から溢れ出そうなぐらいの柑橘が実ります。


COUZT CAFE
椿ひとみ

photo by Madoka Shibazaki
(一部を除き)